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Z世代が3年以内に会社を辞める本当の理由  【厚生労働省データと組織心理学で完全解説】

この記事でわかること

  • 厚生労働省の最新データで見るZ世代の離職率の実態
  • 「すぐ辞める」と言われる本当の理由を組織心理学で解説
  • Z世代特有の価値観と従来の職場環境のギャップ
  • 離職を防ぐために今日からできること

目次

はじめに——「Z世代はすぐ辞める」は本当か

「最近の若者はすぐ辞める」

そういった声が職場でよく聞かれるようになりました。
一方で当事者であるZ世代からは
「合わない職場に居続ける理由がない」「成長できない環境にいる意味がわからない」
という声も聞こえてきます。

どちらが正しいのでしょうか。

答えはどちらも正しく、どちらも本質を捉えていないです。

この記事では、感情論や世代論ではなく、データと組織心理学の研究をもとに
「Z世代が3年以内に会社を辞める本当の理由」を解説していきます。


まずデータで現状を確認する

厚生労働省の最新データ

厚生労働省が2025年10月に公表した「新規学卒者の離職状況」によると、2022年3月卒業者の3年以内離職率は大卒で33.8%です。大卒では毎年1割以上(12.1%)が1年以内で離職しており、2年以内では24.0%に達しています。 Van

つまり数字で整理するとこうなります。

離職時期大卒の離職率
1年以内12.1%
2年以内24.0%
3年以内33.8%

大卒の3人に1人以上が、3年以内に最初の職場を去っています。

離職率は上昇傾向にある

Z世代の中でも新卒入社世代である20〜24歳の離職率は、
2021年25.7%、2022年27.3%、2024年28.9%と、ここ数年は上昇傾向にあります。 Mynavi

単純に「昔から若者は辞めやすい」という話ではなく、
Z世代が職場に入り始めた時期から数値が上昇していることは注目すべき点です。

「3年3割」は昔からある現象ではないのか

よく「昔から若者は3割辞めていた」という反論があります。これは部分的には正しいです。
しかし重要なのは離職率の数値よりも、離職の理由が変化しているという点です。


Z世代が辞める「本当の理由」——組織心理学で解説

理由① 自己決定理論と「内発的動機づけの欠如」

組織心理学の分野で最も影響力のある理論の一つが、エドワード・デシとリチャード・ライアンが1985年に提唱した**「自己決定理論(Self-Determination Theory)」**です。

この理論によると、人間が内発的動機づけ(自分の内側から湧き出るやる気)を維持するためには以下の3つの基本的心理欲求が満たされる必要があります。

① 自律性(Autonomy)
  自分で選択・決定できている感覚

② 有能感(Competence)
  自分が成長・上達していると感じられること

③ 関係性(Relatedness)
  他者とつながっている感覚

Z世代は「成長感が得られない」「評価が不透明」「社会的意義を感じられない」と判断すれば、上司へ相談せず”サイレント離職”する傾向が強いことが指摘されています。 HRプロ

これを自己決定理論の枠組みで見ると、
「成長感が得られない」=有能感の欠如「評価が不透明」=自律性の欠如として説明できます。

Z世代が辞めるのは「忍耐力がない」からではなく、
内発的動機づけを支える3つの欲求が職場で満たされていないからです。


理由② 心理的契約の破綻

組織心理学者デニス・ルソーが1989年に提唱した**心理的契約(Psychological Contract)**という概念があります。

心理的契約とは、雇用者と被雇用者の間に存在する「明文化されていない相互期待」のことです。

Z世代が入社時に持つ心理的契約の例:
・成長できる環境がある
・頑張りは正当に評価される
・意見を言える風土がある
・仕事に意味ややりがいがある

この心理的契約が破られたとき、人は強い失望と離職意欲を感じます。
これを**「心理的契約違反(Psychological Contract Breach)」**と呼びます。

問題は、Z世代は以前の世代より心理的契約の内容が「成長・意味・フラットな関係性」に偏っているという点です。

以前の世代の心理的契約Z世代の心理的契約
長期雇用・終身雇用成長機会の提供
年功序列による昇給フェアな評価
会社への忠誠心仕事の社会的意義
安定した雇用フラットなコミュニケーション

従来型の職場運営を続ける企業は、Z世代が持つ心理的契約を知らないまま違反し続けていることになります。


理由③ 比較対象の無限化——相対的剥奪感

社会心理学者のサミュエル・ストウファーが提唱した**「相対的剥奪理論(Relative Deprivation Theory)」**という概念があります。

人は自分の状況を絶対値で評価するのではなく、比較対象との差分で評価します。

以前の世代の比較対象は「同期」「同世代の知人」程度でした。しかしZ世代はSNSを通じて、フリーランスで働く同世代、海外で活躍する若者、スタートアップで裁量を持って働く同い年を毎日目にしています。

以前の世代の比較対象:
同期・同世代の知人(数十人)

Z世代の比較対象:
SNS上の同世代全員(何百万人)

この比較による「自分の職場環境の相対的な劣悪さ」の認識が、離職意欲を加速させます。

「隣の芝は青い」という現象は昔からありましたが、Z世代はその芝の数が桁違いに多い環境に置かれています。


理由④ サイレント離職という新しい離職パターン

Z世代には「成長感が得られない」「評価が不透明」「社会的意義を感じられない」と判断すれば上司へ相談せずサイレント離職する傾向が強く、離職を防ぐためには透明性・即時性・個別性・価値志向の4つのキーワードが重要とされています。 HRプロ

**サイレント離職(Quiet Quitting)**とは、実際には辞めないものの、業務に必要な最低限のことしかしない状態のことです。

組織行動論的に見ると、サイレント離職は**「離職意思はあるが行動に移せていない状態」**と解釈できます。組織心理学者のハーバート・グリーンバーグの研究では、従業員が不満を感じた際の行動は以下の4つに分類されます。

EVLN モデル:
Exit(退出):実際に辞める
Voice(発言):問題を上司や組織に伝える
Loyalty(忠誠):不満を抱えながらも留まる
Neglect(怠慢):業務への関与を減らす
        → これがサイレント離職

Z世代にサイレント離職が多い背景には、「Voice」を選んでも機能しない経験を早期に積んでいることがあります。意見を言っても変わらない、評価されない、という経験が積み重なると、Neglectへと移行します。


Z世代と従来世代の価値観ギャップを整理する

2025年版の調査によると、Z世代は現状の働き方に「満足している」と回答した人が約5割を占め、X〜Y世代の約4割と比較して高い一方、Z世代は福利厚生の充実度や残業時間の短さを働く上で特に重視している傾向があります。 Japan Research Institute

この結果は一見矛盾しているように見えますが、組織心理学的には説明できます。

Z世代は「今の職場に不満はないが、もっと良い環境があれば移る」という条件付き満足の状態にあります。
これはハーズバーグの**二要因理論(動機づけ・衛生理論)**で説明できます。

衛生要因(あって当然・なければ不満)
→ 給与・福利厚生・残業時間・職場環境
→ Z世代はここが満たされて「まあ満足」

動機づけ要因(あれば満足・なくても不満にはならない)
→ 成長・達成感・仕事の意味・承認・責任

問題:
Z世代は動機づけ要因の充足を強く求めているが
多くの職場は衛生要因の改善に留まっている

「給料を上げても離職が止まらない」という企業が多い理由はここにあります。Z世代が辞める理由は、衛生要因(給与・待遇)ではなく動機づけ要因(成長・意味・承認)の欠如がほとんどです。


「辞めること」は本当に問題なのか——データから考える

ここで一つ重要な視点を提示します。

OpenWorkの調査によれば、2021年入社の新卒社員の3年以内離職率は34.9%と、過去15年間で最も高い水準となっており、Z世代の入社期である2019年以降、離職率が上昇しています。 Komei

一方で、キャリア研究者のアーサー・ホールが提唱した**「プロティアン・キャリア理論」**では、キャリアは組織に依存するのではなく、個人が自律的に形成するものと定義されています。

転職自体が「失敗」でも「問題」でもなく、自律的なキャリア形成の一環として捉える考え方は、
世界的な潮流になっています。

重要なのは**「なぜ辞めるのか」**であって、「辞める」という事実そのものではありません。


Z世代が今の職場で消耗しないために——具体的な対処法

対処法① 自分の「心理的契約」を言語化する

まず自分が職場に何を期待しているかを明文化してみてください。

やってみること:
「私がこの職場に求めていることリスト」を
紙に書き出す

例:
・半年に一度は新しいスキルを習得したい
・月1回は上司からフィードバックがほしい
・自分の業務が誰の役に立っているか
 見えるようにしたい

これを書き出すことで、「なんとなく不満」の正体が明確になります。そして「これが満たされていないから不満なのだ」と気づけると、次の行動(上司に伝える・転職する・副業する)を選択しやすくなります。

対処法② 自己決定理論で「今の職場を採点する」

自律性・有能感・関係性の3つを、それぞれ10点満点で採点してみてください。

自律性(自分で決められているか):__点
有能感(成長を感じられているか):__点
関係性(つながりを感じられているか):__点

合計24点以下の場合:
→ 転職・副業・社内異動を検討する価値がある

どれか1つが3点以下の場合:
→ その欲求を職場以外で満たす方法を考える

対処法③ 「Voice」を一度試みる

サイレント離職に陥る前に、一度だけ「Voice」を試みることを推奨します。

組織心理学の研究では、従業員が不満を発言した際に上司が適切に対応した場合、離職意思が有意に低下することが示されています。

具体的なアクション:
「成長機会について相談したいのですが
 1on1の時間をいただけますか」

これを上司に伝えるだけで十分です。
対応が変わらなければ、次の選択肢を考える
判断材料になります。

対処法④ キャリアの軸を「会社」ではなく「スキル」に置く

プロティアン・キャリア理論の観点から言えば、「この会社でしか通用しないスキル」より「どこでも通用するスキル」を積み上げることが長期的なキャリア安定につながります。

ポータブルスキル(どこでも通用する):
・論理的思考力・文章力
・データ分析・Excel・SQL
・プロジェクト管理・コミュニケーション

カンパニースペシフィックスキル(その会社限定):
・その会社独自のシステム操作
・特定の社内プロセスの知識

今の職場でポータブルスキルが積めているかどうかを定期的に確認する習慣を持つことが、キャリアの自律性を高めます。


まとめ

Z世代が3年以内に辞める本当の理由を整理すると、以下の通りです。

表層的な理由組織心理学的な本質
「成長できない」自己決定理論における有能感の欠如
「評価が不透明」心理的契約の違反
「もっといい環境がある」相対的剥奪理論による比較の加速
「言っても変わらない」Voice機能の不全によるNeglect移行
「仕事に意味を感じない」動機づけ要因の欠如(ハーズバーグ理論)

「Z世代はすぐ辞める」という表現は現象を表しているに過ぎません。
その背景には、Z世代特有の価値観と従来型の職場環境の構造的なミスマッチがあります。

辞めることが問題なのではなく、「なぜ辞めたいのか」を自分自身が正確に把握できているかどうかが重要です。自分の心理的欲求を理解した上で、転職・留まる・副業などの選択肢を比較することが、Z世代のキャリア形成において最も重要なアプローチです。


よくある質問

Q. 転職するなら何年目がいいですか?

キャリア論的には「スキルが一定程度積まれた時点」が目安です。入社1年以内の転職は「基礎スキルの習得前」と見なされることが多く、2〜3年で一定の成果を出した後の転職が市場評価は高くなる傾向があります。

Q. 転職したいが自信がありません。

まず自分のポータブルスキルをリスト化することから始めてください。「この会社でしか通用しない」と思っているスキルが、実は市場価値を持つケースは多くあります。

Q. 上司に不満を伝えるのが怖いです。

まず「相談したいことがある」という形で1on1の場を設けることをおすすめします。不満ではなく「キャリアについて相談したい」という切り口にすることで、上司の受け取り方が変わります。

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